口呼吸と口腔・全身の関係
中国最古の医学書と言われる「黄帝内経」に「呼吸と咀嚼が正しく行われるなら百歳まで生きる」という記述があります。このことから昔の人は呼吸と咀嚼の重要性についてよく理解していたものと思われます。
呼吸は口呼吸と鼻呼吸に分けられますが、口呼吸が体に悪影響を与えることが問題となっています。歯科領域における2大疾患、すなわち虫歯と歯周病においても従来の口腔清掃だけでは解決できない場合が増加しています。口の中は本来、だ液に潤されることでいい状態が保たれていますが、口呼吸により乾燥すると虫歯や歯ぐきの炎症を起こすことが知られています。十分なブラッシングを行っているにもかかわらず口腔内のトラブルを起こしやすい人は口呼吸を疑ってみる必要があります。また口呼吸はのどの奥の扁桃リンパ輪に慢性的な炎症を引き起こすために免疫系疾患との関連も言われています。このように口呼吸を行うことは身体に悪影響を与えますのでこれを改善することが健康維持には必要です。
口呼吸の改善方法には大きく2つのものがあります。ひとつは「あいうべ」と言いながら舌を出す「あいうべ体操」のように舌の筋肉を鍛えるものと、トレーニング様のマウスピースを使用して口の周りの口輪筋を鍛えるものがあります。どちらも口呼吸を治す効果があります。詳しくはかかりつけの歯科医師に御相談ください。(2012年放送)