耳鼻咽喉科/乗り物酔い

乗り物酔い

 自動車や船など乗り物の揺れ、スピードの変化などで引き起こされる吐き気、顔面蒼白、冷や汗など不愉快な症状が乗り物酔いです。耳の奥にある三半規管や耳石で加速度の変化を感じ、景色の変化や物の動きを眼でとらえ、情報として脳に入って来ます。これらの刺激が繰り返されると脳が情報を正しく処理出来ず、調節に失敗して自律神経の異常な興奮がおこるのが主な理由です。酔うのではないかという不安感、ガソリンの臭い、乗り物の温度や混雑などの不愉快な環境、めまいの起こり易い体調などがストレスとして自律神経を刺激する要素もあります。

乗客として乗るときは酔うのに、自分で運転していると酔わないことが対策のヒントになります。運転手はカーブでハンドルを回しながら曲がる方向に体重を傾けます。乗客は運転手とは逆の方向に遠心力で体を振られます。運転手はカーブ、発進、ブレーキの時に状況に合わせて無意識に眼、耳の奥にある内耳からの情報と筋肉の動きをうまく調節しているので酔いにくいのです。前の方に座り、運転しているつもりで体を動かしてください。船酔いも出港して数日経過すると症状が軽くなりますが、加速度の変化に馴れる事で症状が予防されます。普段からブランコ、自転車、シーソー、運動などを生活の中に取り入れましょう。酔い易い人は旅行前に主治医から乗り物酔いの薬を処方してもらい出発の30分位前に内服する事もやむを得ません。ただし運転は控えてください。(2012年放送)