月経前緊張症
排卵から月経前になると、イライラする、気分が沈んでしまう、体調が悪くなる、といった症状は女性の50ないし80%が経験していると言われています。このように、排卵から月経開始までの時期に現れる身体的、精神的不快な症状を総じて、月経前緊張症といいます。その症状は人によって実に様々です。胸が張ってくる、頭痛がする、下腹部に痛みを感じる、むくみが出る、過食になるといった身体的なもの、怒りっぽくなり夫や子ども、周囲の人に当たってしまう、理由もなく悲しくなり抑うつ感に捕われる、というような精神的なものなど、例をあげればきりがないほどです。しかし、月経が始まるとこれらの症状も次第に軽快していくのも特徴です。排卵がある女性であれば誰にでも起こりうる症状ですが、極端に症状が現れる場合は治療が必要です。
日本国内で月経前緊張症という言葉が一般に知られるようになったのは最近で、海外に比べて社会的認知度がまだまだ低いようです。このため、月経のない夫や職場の男性などにしてみれば、その病気を理解することは非常に難しいことで、情緒不安定やきまぐれな性質としてかたづけられてしまうことが多く、問題になります。原因は諸説があり完全には解明されていません。治療は症状の程度にもよりますが、ライフスタイルの改善、有酸素運動、栄養療法、また低用量のピルなどでホルモンバランスを安定させることなどです。1人で悩むことなく、まずは、お近くの婦人科医に相談なさることをおすすめします。(2012年放送)