婦人科/高齢者の性器出血

高齢者の性器出血

 生理は卒業したはずなのに突然出血したらびっくりしませんか?原因としてはエストロゲンという女性ホルモンの低下によって起こる出血とがんなど悪性の病気によって起こる出血があります。

なぜエストロゲンが低下すると出血が起こるのでしょうか?健康な腟には、腟内を酸性に保ち微生物の増殖を抑制する「自浄作用」を有する乳酸桿菌がいます。高齢になりエストロゲンが低下すると乳酸桿菌が不足し自浄作用が弱まり、腟炎を起こしやすくなります。また腟のひだが減少し腟の壁も薄く脆くなり、出血しやすい状態になります。その結果、性交、排便、歩行、水泳の後などに性器出血が起こってきます。このような方には腟の痛み、灼熱感、乾燥感、痒み、違和感、性交痛、帯下(おりもの)などの症状があります。

治療はエストロゲンの補充で簡単に治ります。

さて、問題なのは悪性の病気による出血です。子宮頚がん、子宮体がん、卵巣がん、腟がんが代表的です。早期発見、早期治療ですと子宮がんはほぼ100%元気になります。ただ残念ながら進行してしまうとそういう訳には行きません。何年も前から出血しているのに病院に行くのが怖くて我慢していた70代女性、更年期は月経不順になって当たり前だからと何年も出血を放置していた60代女性のがんが進行した例を経験しました。子宮がん検診を受けていたらと悔やまれました。

性器出血のシグナルを軽く見ないで、勇気をだしてお近くの産婦人科を受診してください。(2012年放送)