高齢者の性生活
女性の平均寿命は86.4歳となり、高齢化社会となりました。それに伴い閉経後約30年以上のクオリティ・オブ・ライフ、すなわち生活の質が問題となっています。心身共に健康な老人にとって、性生活は若い人と同様に大きな関心事です。しかし、性行為に対する欲求は男女間でも大きな隔たりがあり、女性では閉経とともに急速に性生活から遠ざかる傾向にあります。夫婦間でもセックスに対するバイオリズムの違いが大きな問題となっています。
卵巣機能が衰える事による性器粘膜の萎縮が起こり、老人性膣炎を引き起こし、性交痛や性欲低下の原因になります。性交痛などの改善、治療としてホルモン投与によるエストロゲン補充療法や潤滑用ゼリーの使用があります。女性ホルモンの低下は気分の変動を来しやすく、抑うつや性欲の低下など脳精神機能にも影響します。
セックスは性行為そのものを意味しますが、セクシュアリティは大脳による人間的営みを意味しています。人を愛し、優しい思いを抱くもの、また愛されたいと願い、お洒落をすることも広い意味でのセクシュアリティです。日常的な身体的な触れ合いを大切にし、肌の温もりを分かち合い、スキンシップを死ぬまで保つことは心の張り、精神安定にも大切です。介護を要するような状態になった高齢者でもセックスは無縁でありません。
性の問題や悩みは親しい友人にも相談しにくく、タブー視され、いっそうストレスの原因となりますので、遠慮なくかかりつけ医に相談してください。(2012年放送)