整形外科/手足のしびれ―整形外科の立場から

手足のしびれ―整形外科の立場から

手足にしびれを感じた時、皆さんが悩むのは「病院にいくべきだろうか?でも何科にかかればいいのだろう?」ということではないでしょうか。今回は整形外科医の立場から手足のしびれについてお話しします。

ヒトの体は、脳から出た脊髄という太い神経の幹が頚から腰まで通っていて、脊髄から枝分かれした神経の枝が手足の先まで網の目のように張りめぐらされています。そのどこかで異常がおきると、そこから先にしびれが起こるわけです。川の水の流れに例えると、上流で流れがせき止められるために、下流の流れが悪くなった範囲にしびれを感じる、というイメージです。逆に、下流の方で流れがせき止められてもその上流ではしびれは出ません。従って、しびれの原因を突き止めるためには、体のどこに、どのような範囲で、どのような時にしびれが出ているかを確かめることが大切になります。頚を後ろに反らせて左右どちらかに傾けた時に腕のしびれが強くなれば頚の椎間板ヘルニアを、手の親指から中指がしびれて手首を曲げた時に強くなる場合は手首の所で神経が圧迫されている手根管症候群が考えられます。また、歩く時や立った姿勢の時に足がしびれて、腰掛けて前かがみで休憩すると楽になる場合は腰のレベルで脊髄が圧迫される脊柱管狭窄症の可能性があります。整形外科の病気による手足のしびれは左右どちらかだけに起こることが多く、体のある動きや姿勢で強くなることが特徴です。心当たりのある方は専門医にご相談ください。(2012年放送)