脊椎圧迫骨折の新しい治療法~バルーンカイフォプラスティ~
脊椎圧迫骨折は、年をとるとともに骨がもろくなる骨粗しょう症によくみられる背骨の骨折です。背骨の骨折を繰り返すと、背骨が押しつぶされるように変形し、背中が丸くなり、寝たきりの原因ともなりかねません。
脊椎圧迫骨折の従来の治療法はコルセットやギプスを着け、ベットの上で安静を保つことです。コルセットを巻いたまま生活する必要があるため、日常生活が制限され、長期の入院が必要になり、筋力低下や認知症が発生することもあります。
2010年より日本でも行えるようになった新しい治療法にバルーンカイフォプラスティという手術法があります。全身麻酔でうつぶせに寝た状態で背中を1センチ程度2ヶ所切って、小さな風船のついた器具を入れます。そして、つぶれた骨を持ち上げて、できるだけ骨折前の形に戻します。次に風船を抜いてできた空間に医療用のセメントを入れます。手術は1時間程度でおわり、セメントは手術中に固まります。手術後は翌日より起きて歩行可能となり、長く入院する必要はありません。
この手術の対象となる方は、骨粗しょう症による脊椎圧迫骨折の患者さんで、コルセットやギプスを使っての保存的治療によっても背中の痛みが十分に改善されない方になります。この新しい手術は、専門のトレーニングを受けた医師が手術を行いますが、セメントを使用することや手術に伴うリスクがあります。詳しくは脊椎外科専門医にご相談ください。(2012年放送)