外科/人に聞けない痔の病気

人に聞けない痔の病気

痔とは肛門全体に起こった病気の総称です。大きく「痔核」、「裂肛」、「痔ろう」の3つに分類され、その半数を占めるのが痔核です。痔核は肛門の静脈が腫れて

いぼ状の塊になっているもので、出血したり肛門から飛び出したりします。裂肛は切れ痔ともいい、排便時の強い痛みがあります。痔ろうは細菌感染などによって直腸と肛門周囲の皮膚との間にトンネルができたもので、分泌液で下着が汚れたり、発熱や痛みを伴います。

痔核治療の基本は生活習慣を改善することです。特に排便習慣の改善が重要で短時間でスムーズな排便となるように心がける必要があります。生活習慣の改善に加え軟膏や内服薬が効かない場合は注射や手術などを行います。手術は確実で有効な治療法ですが、術後の痛みを伴い場合によっては出血などの合併症があります。

手術に代わる治療法として、痔核を切らずに治す注射療法があります。お薬を痔核内に注射することにより痔を硬く固定させ、出血や肛門からの飛び出しといった症状をなくします。手術と違って術後の痛みや出血がほとんどなく治療期間も短くなりましたが、頻度は少ないものの発熱などの副作用や手術後の再発の可能性もあります。

日本人にとって痔は一般的な病気ですが、痔を「特殊な病気」と捉える傾向があるため受診が遅れがちです。恥ずかしいからと放っておくと痔は少しずつ悪化していきます。また、大腸がんなど痔と間違いやすい重い病気が潜んでいることがありますので早めの受診と大腸の内視鏡検査をおすすめします。(2012年放送)