頸(くび)の血管の狭窄症手術
首には右と左に2本、直径5ミリぐらいの内頚動脈があります。この血管の壁にコレステロールなどがたまり、その内腔を狭くしてしまった状態を内頚動脈狭窄症といいます。その多くは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症など全身の動脈硬化症の結果として起こります。この血管が細くなると、脳へ十分な血液がいかなくなり、脳梗塞や1過性脳虚血発作を起こします。最近は超音波エコーやMRIなどの検査で症状が出ないうちに、内頚動脈狭窄症が発見されることが多くなりました。
内頚動脈狭窄により、脳梗塞を起こす確率は年に2%程度です。これを予防するのを目的に手術を行います。内頚動脈狭窄症が発見された場合で手術治療が進められるのは、内腔の60ないし70%以上の高度な狭窄がある場合や、コレステロールなどのかたまりが剥がれやすい状態にある場合、MRIなどで症状が出なかった脳梗塞を脳に発見した場合です。
内頚動脈手術には2つの方法があります。現在、最も一般的なのは、内膜剥離術です。血管の壁を切開し、かたまりを取り除き、狭くなっている血管をもとの広さにもどします。もう1つの方法はステント留置です。脚の付け根の血管よりカテーテルを挿入し、内頚動脈に金属製、網目状のステントを入れて血管の内腔を広げる方法です。(2012年放送)