物忘れはぼけの始まりか
「痴呆症」や「ぼけ」と呼ばれていた病気は、最近では、「認知症」と呼ぶようになりました。さて、「物忘れは認知症の始まりか?」という質問に対するお答えですが、「物忘れは認知症の始まりとして最もよく見られる症状である。」、と言えます。しかし、物忘れがある人が全て認知症になるのかというとそうではありません。
そもそも人間は年をとると共に物忘れが起きて、ほんの少しずつひどくなっていきます。これは正常な物忘れであり、認知症による病的な物忘れではありません。したがって、この様な正常な物忘れがあっても日常生活は自立していて、周囲に迷惑をかけることもさほどありません。
それではどの様な物忘れが病的な物忘れで、認知症の始まりなのでしょうか。
病的な物忘れとは、食事したことを忘れる、旅行に行ったことを忘れるなど、体験したこと全体を忘れてしまい、ヒントを出しても思い出すことができない場合を指します。また、短時間の間に何回も同じことを尋ねたり、同じ話しを繰り返すことも病的な物忘れと言えます。また、その際に同じ話しをしていることを指摘しても気が付かないと言うのが特徴です。さらに、日付や自分の年齢を忘れる、親しい人の名前を忘れる、身の回り品の置き場所を忘れる、服の着方を忘れるなども病的な物忘れと言えます。この様な病的な物忘れが認められたら、かかりつけの医師に相談してください。(2012年放送)