無菌性髄膜炎
髄膜炎とは脳や脊髄を保護している表面の膜がさまざまな原因で炎症を起こし、発熱、頭痛、嘔吐などの症状がみられる病気です。その中で今回取り上げる無菌性髄膜炎は大部分がウイルスの感染によるものです。
原因となるウイルスにはエコーウイルスやおたふく風邪の原因となるムンプスウイルスが多いとされています。夏場に増加する傾向があり、家族内でうつったり、小学校・幼稚園・保育園などで流行する年もあります。発熱などの風邪症状とともに頭痛、吐き気、嘔吐などの症状があると無菌性髄膜炎が疑われます。
細菌性髄膜炎は名前がよく似ていますが、こちらは細菌感染が原因で、重症化しやすく、強力な抗生剤の投与が必要なことなどが無菌性髄膜炎とは異なります。
無菌性髄膜炎では抗生物質は効果がなく、治療は安静、水分補給、頭痛や吐き気に対する対症療法が中心で、ごくまれに重症になることがありますが大部分は後遺症も残らずにすっかり治ってしまいます。症状が重い場合や細菌性髄膜炎と区別が難しい場合は入院し、背中から針を刺して髄液の検査が必要になることがあります。風邪症状に始まって後になって髄膜炎の症状が出てくる場合も珍しくありません。病院を受診し風邪と診断を受けても、発熱、頭痛、嘔吐などの症状が強かったりなかなか治らない場合は再度病院を受診し診察を受けるようにしましょう。
また、無菌性髄膜炎の原因の1つであるおたふく風邪には難聴などの合併症も知られており麻疹風疹ワクチンが済んだら早めにおたふく風邪のワクチン接種を受けましょう。(2012年放送)