小児科/出血し易くなる病気〝血友病〟

出血し易くなる病気〝血友病〟

 血液は血管の中を流れており、そこで固まってはなりません。しかし、一旦血管が破れれば、速やかに固まって出血を止めなければなりません。血管の壁が何らかの原因で傷付くとそれが血液を固めるスタートの合図となります。まず血液中を流れている血小板という小さな細胞が集まり、それが傷口にくっつきます。このとき、フォンウィルブランド因子というものの助けが必要になります。さらに頑丈な固まりに仕上げてゆくために凝固因子というものが働いて血が止まります。以上が血液が固まる一連の過程です。どこか1つでも不都合があると血液は固まりにくくなり、軽い傷で大量に出血してしまう事態となります。

血友病は生まれつき凝固因子が不足している病気です。分娩や乳児期は症状がなく、歩行が始まる頃から軽い打撲で大きな青アザを作ったり、鼻血が止まらなかったり、関節の中に出血したりして異常に気づきます。X染色体に根本的な原因があるため、男性にしか発病しません。この病気で遺伝するのは約半数で、残りは突然変異と思われます。血友病によく似た病気にフォンウィルブランド病があります。先天的にこの因子が欠乏しておこります。血友病と遺伝の形式が異なり女性にもおこります。月経が開始の時に多量の性器出血をおこすことがあります。

血友病もフォンウィルブランド病も非常に稀な病気です。しかし出血し易い状態が他の病気の初期症状の場合がありますので変だと思ったらかかりつけ医に相談してみてください。(2012年放送)