子どもの胸の痛み
大人の人に胸の痛みがあれば心臓の病気ではないかと心配になります。子どもさんも胸の痛みを訴えることがありますが、重症の病気ではないことがほとんどです。 子どもさんの胸の痛みの一部は運動や外傷などによる肋骨や軟骨、筋肉の炎症で起こると言われています。しかし、大部分は原因がよく分かっていません。では、まったく心配ないかと言うと、やはり稀ですが、重大な病気が隠れていることがあります。
呼吸器の病気では、激しい咳を伴う肺炎や気管支炎、突然の痛みが続く肺が破れる気胸などがあります。また、消化器の病気では胃液が逆流しておこる食道炎や胃炎は、食事の後に胸の中央部が焼けるように痛くなることがあります。
さて、もっとも気になる心臓の病気ですが、生まれつきのいわゆる先天性の心臓の病気で胸の痛みを訴えることはまずありません。しかし大動脈弁が狭くなった大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、脈が速くなる不整脈、風邪をひいた後に心臓の筋肉に炎症をおこす心筋炎、川崎病にかかって心臓に動脈瘤が残った子どもさんなどは胸の痛みだけでなく重大な事故にむすびつくこともあります。このような重大な病気は胸の痛み以外の症状を伴っていることもよくあります。胸の痛みが気になるような時は、ぜひかかりつけ医に一度ご相談ください。(2012年放送)