内科/肺塞栓症―急に胸が苦しくなる

肺塞栓症―急に胸が苦しくなる

 エコノミークラス症候群という病名を聞いたことはありませんか。実はこの病気の正体は肺塞栓症なのです。

肺塞栓症の「塞栓」とは、血の塊である血栓が血流に乗って流れていって血管を塞ぐという意味です。つまり肺塞栓症とは肺の血管が血栓で塞がれる病気です。原因の9割以上は足の静脈にできた血栓です。

足から血液を心臓に戻すためには、血液を押し上げる力が必要です。しかし、静脈の力だけでは足りず、足の筋肉が収縮して静脈を圧迫する力が必要です。長時間足を動かさないと静脈は血液を押し上げられず、血液の流れが悪くなります。血流が悪くなると血栓ができやすくなります。こうしてできた血栓が流れてゆき肺の血管を塞いでしまうのです。

典型的な症状は、突然起こる呼吸困難で、今まで平気だった坂道や階段で息切れが強くなり動けなくなります。肺の血管がつまると体の中に酸素を取り込めなくなるからです。そのため呼吸や脈拍の数が増えます。息を吸うとき鋭い胸の痛みがあります。さらに重症の場合は気を失ったり、最悪の場合は突然死することがあります。

お産経験者、高齢者、デスクワークなど長時間座ったままの人、足に静脈瘤のある人は足の静脈に血栓を作りやすいので、普段から足のマッサージや足踏み、下肢(あし)の屈伸などを心掛けておくと予防になります。またまれではありますが、若い人でピルを飲んでいる人も注意が必要です。

急に胸が苦しくなったら、もよりの内科や循環器科をすぐに受診してください。場合によっては救急車の要請が必要です。(2012年放送)