歯周病と全身の健康との深い関係②
全身の健康状態が歯周病に与える影響については、別項でお話しました。ところが最近になって、逆に歯周病が全身の健康にも影響していることがわかってきました。
歯周病になると歯周病になっている部分から細菌が血管に入りやすくなります。血液中に入り込んだ細菌が血流にのって心臓の弁膜や内膜に到達すると、細菌性心内膜炎という心臓の病気を起こしやすくなると言われています。また、歯周病を起こしている細菌が作り出す炎症性物質により心臓の血管に血のかたまりができやすくなるとも言われています。血圧や中性脂肪の高い方は、これらの病気のリスクを少しでも減らすために、歯周病を治療することが大切です。
歯周病になると歯周病になっている部分で生じた炎症性物質や毒素が血液を介して全身に運ばれます。このため糖尿病の患者さんでは、インスリンの効きが悪くなり、その治療が難しくなると言われています。また、妊婦さんの場合には子宮の収縮が促されて、早産や低体重児出産の確率が高くなると言われています。歯周病をきちんと治療しておくことは、糖尿病の治療や安定した出産のためにも大切です。
また、高齢や寝たきりの方は、口腔内の細菌が誤って気道へ入ってしまい、肺炎を起こすことが多いと言われています。これを誤嚥性肺炎と言います。誤嚥性肺炎は生命にかかわる病気です。寝たきりや身体が不自由になった場合も、歯周病の治療を含めた口腔ケアを続けていきたいものです。
(2011年放送)