歯科/歯周病と全身の健康との深い関係①

歯周病と全身の健康との深い関係①

 歯周病は、成人に広くみられる歯の周りの組織の病気です。初期の状態ではほとんど自覚症状がありませんが、放っておくと歯を支える骨が吸収されて、歯が抜け落ちてしまうこともあります。原因は歯垢の中の細菌ですが、全身の状態や体質も歯周病の進行と深く関係しています。
 例えば、健康な人でも、喫煙や精神的ストレスは歯周病の進行に大きく影響します。喫煙者は、非喫煙者に比べて歯周病にかかりやすく、さらに喫煙の量や期間も影響します。ストレスを受けている人も歯周病にかかりやすく、治療も成功しにくくなります。
 また、生まれつき歯周病になりやすい病気にかかっている人もいます。白血球の機能異常を伴う血液の病気やダウン症候群にかかっている人は、乳歯の頃から歯周病をおこすこともあります。このような病気にかかっている人は、早目に歯周病の検査を受けることが必要です。
 成人になってかかる病気にも、歯周病と関連の深いものがあります。代表的な例が、糖尿病です。糖尿病は、眼、血管、神経に合併症を起こすことが良く知られていますが、歯周病にもかかりやすくなります。
 また、病気の治療のために飲むお薬の副作用で歯ぐきが腫れてくることもあります。てんかんのお薬のフェニトインや高血圧のお薬のニフェジピン、免疫抑制剤のシクロスポリンなどにこのような作用があります。これらのお薬を飲んでいて歯ぐきが腫れてきた場合には、かかりつけの医師に相談してみましょう。

(2011年放送)