皮膚科/疥癬

疥癬

 疥癬はヒゼンダニという小さな虫が、ヒトの皮膚に寄生する病気です。犬や猫にはうつりませんが、ヒトからヒトにうつります。衣類や布団を介してもうつるので、家庭の中だけでなく、職場や施設・病院で広がることもあります。
 疥癬では、首から下の、あらゆる場所に小さな赤いボツボツが見られます。時には眠れない位激しい痒みが特徴です。掌や指の間に小さな水疱ができたり、お腹から下、陰部などの軟らかい部分に、小さな紅いしこりが見られます。
 診断は、皮膚からダニ、もしくは卵を顕微鏡検査で見つけたり、または「疥癬トンネル」と呼ばれる掌や脇などにあるヒゼンダニが動いたすじを、ダーモスコピーという器具を使って探します。治療はイベルメクチンという飲み薬を、週に1回服用しますが、1回で半数が治ります。薬が飲めない場合や小さなお子さんは、イオウ剤など塗り薬による全身治療が必要です。普通は1カ月以内に症状が消え治療が終わりますが、3カ月は再発に注意します。自己診断や治療の中止は、こじらせるもとです。疥癬を周りに拡げないためにも、きちんと治るまで皮膚科を受診してください。
 下着や寝巻きは毎日洗い、治るまで服や布団、寝る部屋は別にしておきましょう。ヒゼンダニは、ヒトから離れては1日も生きられません。寒いと極端に動きが鈍り、高温では死んでしまいます。接触した時も、手洗いを念入りにすることで予防できます。職場や学校を休んだり、消毒したりする必要はありません。

(2011年放送)