泌尿器科/性病

性病

 性病とは、性行為あるいはその類似行為によって感染する病気のうち、1945年に制定された性病予防法に規定された、梅毒、淋病、軟性下疳(げかん)、鼠径リンパ肉芽腫のことです。
 ところが今や世の中が大きく変わり、性病は特別な人が罹る感染症ではなくなり、性生活をもつ人なら、誰が罹っても不思議ではない感染症となってしまっているのです。
 1999年4月に統合された感染症予防新法では、性病は性感染症と呼び名を変え、しかも他の感染症、例えばインフルエンザとか結核などと肩を並べた感染症として扱われるようになりました。強力な抗生物質が創り出され、症状が出やすかった古い型の性病群は影をひそめ、症状のあまり出ない性器クラミジア感染症や性器ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジローマ、B型肝炎、HIV感染症(AIDS)などウイルスによる新しい性感染症が、知らないうちに大流行する時代になっています。
 後天性免疫不全症候群(AIDS)はヒト免疫不全ウイルス(HIV)が、免疫細胞に感染し免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす免疫不全症のことです。現在全世界でHIV感染者は5,000万人に達すると言われ、毎日16,000人の新しい感染者が出ています。その90数%は性感染症として蔓延しているのです。我が国でのHIV感染者は12,866人、エイズ発症者は5,900人に達しています。

(2011年放送)