眼のヘルペス
ヘルペスウイルスは全部で8種類あり、眼に症状を起こすのは「単純ヘルペスⅠ型」と「帯状ヘルペスウイルス」です。単純ヘルペスウイルスの初めての感染は子どもの頃に起こりますが、無症状なことが多く気がつきません。その後ヘルペスウイルスは目を支配する神経節に住みつきますが、ほとんどの人はウイルスが潜伏したままの状態でいます。ところが何かのはずみにこのウイルスが活性化されると顔の三叉神経を伝って角膜で増え、症状が出るようになります。これが角膜ヘルペスです。
角膜ヘルペスには上皮型と実質型の2つのタイプがあります。上皮型は表面に潰瘍を作るタイプで、実質型は角膜の中心が白く濁ってくるタイプです。いずれも充血、異物感、まぶしさ、涙が出る、かすみ目などの症状があります。
治療はヘルペスウイルスが増えるのを抑えるために抗ウイルス薬を使いますが、実質型ではステロイド剤も用います。ただ、ステロイド剤の使用は正しく行わないと逆に症状を悪化させることもあります。また実質型では角膜に濁りが残って視力が低下し、角膜移植が必要になる場合もあります。
「帯状ヘルペスウイルス」の初めての感染は水ぼうそうです。そして単純ヘルペスと同じように神経節に潜んでいて、何かの拍子で帯状疱疹となって出てきます。眼科的にはおでこや上まぶたの三叉神経に出た場合に問題となります。ピリピリした痛みを伴う発疹が頭皮、額、まぶたなどに出た場合は眼科や皮膚科を受診されることをお勧めします。
(2011年放送)