耳鼻咽喉科/黄砂と鼻炎

黄砂と鼻炎

 黄砂は中国やモンゴルの砂漠地帯で大気中に舞い上がり、偏西風で東に運ばれ、韓国や日本に落ちてきます。近年、砂漠地帯の広がりなどから、日本で観察される黄砂の地域が拡大し、黄砂の観察される日数の増加や大気中の濃度が高くなっています。また、黄砂の粒子には中国の工業地帯で発生した大気汚染物質や一部には細菌やカビが含まれています。近年、黄砂による呼吸器やアレルギーの健康被害が報告されるようになり、社会的な関心が高まっています。
 黄砂の多い時期、特に2月から4月にかけては、スギやヒノキ花粉症の時期と重なります。黄砂は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの花粉症の鼻炎の症状を悪化させます。アレルギー性鼻炎を持っている方の約7割で症状が強くなることが報告されています。また、動物実験で黄砂がスギ花粉症を悪化させることが確かめられています。鼻炎の症状以外にはのどのイガイガや咳、眼のかゆみなどの症状がみられます。
 黄砂による健康被害の予防には、黄砂が予想される日には外出を控えたり、マスクを着用するなどの対策が必要です。現在、気象庁から黄砂情報がインターネット上に公開されていますので、現在の黄砂の分布や今後4日間の黄砂予測を知ることができます。黄砂による鼻炎症状の悪化には、花粉症の治療を続けることが効果的です。
 もし、黄砂の多い日にくしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの鼻炎症状があった場合は、耳鼻咽喉科に相談されることをお勧めいたします。

(2011年放送)