婦人科/最近増えてきた子宮体がん(内膜がん)

最近増えてきた子宮体がん(内膜がん)

 子宮体がんとは、子宮の奥の子宮体部と呼ばれる部位より発生するがんです。最近、この病気にかかる割合は増加の一途をたどっていて、20年前の3倍以上になっています。年齢別では、40歳代後半から増加し、50から60歳代にピークを迎えます。
 発生原因となる状況としては、女性ホルモンであるエストロゲンに過剰にさらされる環境です。そのような環境を作るのは、肥満、糖尿病、高血圧、お産の経験がない、初経が早い、閉経が遅い、乳がんの治療薬であるタモキシフェンの服用、エストロゲンの単独使用などがあげられます。エストロゲンは、同じ女性ホルモンのプロゲストロンを併用すれば、逆に体がんの発生を抑えます。
 子宮体がんの症状は、主に不正性器出血です。月経が不順な人や40歳代後半以上の人で、不正な出血が見られるときは、このがんが疑われます。通常行われる子宮頚がんの検査とは異なり、子宮体部の細胞診や組織診という検査を受けることが必要です。
 治療法は病気の広がりによって異なりますが、基本は手術療法で、子宮と卵巣、卵管を摘出します。場合によってはリンパ節を取り除く手術が行われます。放射線治療や抗がん剤、ホルモン剤による治療が、手術の後に、あるいは、手術を行わずに選択されることもあります。最近増加している子宮体がんですが、早期に発見されれば治療の結果は良好です。重要なのは、体がんにかかりやすい40歳代後半以降で不正性器出血が認められる人は、速やかに産婦人科の専門医を受診し、体がんの検査を受けることです。

(2011年放送)