後縦靱帯骨化症
頚、胸、腰にある骨を椎骨といいます。椎骨は椎体と椎弓に分かれています。椎体の前方と後方には縦に走っているすじ、すなわち靱帯があり、前方を前縦靱帯、後方を後縦靱帯といいます。この靱帯が厚くなり、その一部が骨になるのが靱帯骨化です。
特に後縦靱帯は神経である脊髄のすぐ前方に位置しているので、これが厚く硬くなり骨になる後縦靱帯骨化は、神経である脊髄を徐々に圧迫して、手指、体、下肢のしびれ、上・下肢感覚の低下、箸使いやボタンかけがうまくできない、歩行障害などさまざまな神経症状をひき起こします。
一般に頚椎に多いのですが、胸椎や腰椎にも生じます。男性に多く、糖尿病の患者さんに合併することも多いようです。また家系内の発病が多いことから、遺伝的な因子も関係していると考えられています。
病院では、まず単純レントゲン撮影を行い、骨化の形を判断します。さらに必要な場合はCT検査やMRI検査でより詳しく骨化の状態を判断していきます。骨化の厚みが脊髄の通っているトンネルの中の40%を超えると、神経症状が現れやすいといわれています。
治療には薬物療法、温熱や電気治療などの物理療法がありますが、このような治療でよくならない場合や転倒などによる脊髄損傷を防ぐために手術を行うこともあります。後縦靱帯骨化症は厚生労働省指定の特定疾患の1つになっています。このような症状が気になる場合はお近くの整形外科を受診してください。
(2011年放送)