破傷風
破傷風とは土の中にいる破傷風菌という細菌が傷口などから体の中に入って起こる感染症です。破傷風菌はどこにでもいる細菌で、芽胞というカプセルに包まれています。そのために熱や消毒薬に強く、傷口から進入して増殖し、毒素を生産して発病します。小さな傷からも進入するので注意が必要です。
症状は筋肉の硬直で顎、首のこわばり・口が開きにくい・飲み込みにくい・息がつきにくいなどの症状があります。ひどくなると背中が弓のように反って痙攣します。発病までには潜伏期があり3日から3週間と言われています。
破傷風になりやすい傷は怪我してから6時間以上放置されたもの、筋肉まで達した傷、凍傷、感染した創(きず)、汚い水・土壌・唾液に汚染された傷などです。犬や猫に咬まれた時も注意が必要です。野外でけがをした時、汚れた環境でけがをした時はすぐに医療機関を受診してください。受診までに時間がかかる時は傷口を水道水を流しながら丁寧に洗ってください。
治療は傷の切開・洗浄、免疫グロブリンの注射、抗菌薬や痙攣を抑える薬の投与などを行います。日本では年間約100例が発症し、その1割が死亡しています。
現在は定期的な予防接種が行われていますので確実に受けてください。30歳台までの人は免疫を持っている人が多いようです。予防接種を受けていない人や50歳以上の人は、抗体が低かったり、なかったりするので、破傷風の発病を予防する破傷風トキソイドを接種することが勧められています。また、仕事などで外国に行かれる方も追加接種をした方がよいでしょう。
(2011年放送)