精神科/せん妄

せん妄

 せん妄とは、病気の名前ではなく、意識障害を起こした状態を表す言葉です。意識障害というと命にかかわるようなイメージがわきますが、せん妄は1時的な意識障害です。極端に言えば、寝ぼけた状態に似ています。
 典型的な例を挙げてみます。入院したお年寄りが、夜中に起き出して廊下を徘徊。しきりに「虫がいる」と空中をつまむような動作をしています。お部屋に戻ることをすすめても興奮して聞き入れません。この状態が「せん妄」です。注意力・集中力が低下して、時間や場所も分からず、言動も支離滅裂になっているのです。小さな虫が見える幻覚もせん妄に特徴的な症状です。入院したら認知症になった、あるいは認知症が急に進んだと間違えられることがありますが、多くはこのせん妄によるものなのです。
 せん妄は、特に夜に起こりやすいため、夜間せん妄という言い方をすることもあります。
 では、どんな時にせん妄になりやすいのでしょうか。せん妄を起こす要因としては、まず高齢であること、入院や手術といった環境の変化、睡眠障害、脳の病気はもちろん、腎臓や肝臓の病気でも起こります。他にもアルコール依存症の方が急にアルコールをやめたときや薬によるものなど原因は様々です。
 このような要因を改善することがせん妄に対する治療の基本になりますが、興奮や幻覚を伴う場合にはお薬での治療も必要になります。特に認知症の方は在宅でもせん妄になりやすく、心療内科、精神科など専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

(2011年放送)