小児科/子どもの救急シリーズ③せき

子どもの救急シリーズ③せき

 小さい子どもの咳は親を心配させ、とくに夜中にひどく咳き込むと子どもの咳が気になって親は眠れなくなります。しかし、咳は空気の通り道である気道の痰や異物などを外に出そうとする体の重要な防御反応のひとつなのです。咳がこじれて肺炎や喘息になることはありません。
 咳で問題となるのは呼吸するのが苦しいという呼吸困難を伴っているかどうかです。呼吸困難のない咳はあわてる必要はありませんが、呼吸困難がある場合は適切に診断治療しないと急速に重症化し命に関わる可能性があり、呼吸困難があるだけで緊急です。
 呼吸困難を生じる代表的な子どもの病気は、1歳以下の乳児では寒い季節に咳や鼻水から始まりしだいに呼吸がゼーゼーと苦しそうになる細気管支炎、6カ月から3歳の乳幼児では夜間に突然オットセイの声のような強い咳をくり返し苦しそうになるクループ、アレルギー体質のある子どもでは夕方から夜間に激しく咳き込み呼吸がゼーゼー・ヒューヒューと苦しそうになる気管支喘息の発作があります。
 子どもの呼吸困難は年齢が低いほど急速に進行しますが、3歳以下では自分で呼吸困難を訴えることができません。呼吸が早くゼーゼー聞こえる、呼吸するときに胸やお腹がペコペコへこむ、嘔吐するほど激しく咳き込んで眠れない、機嫌が悪く顔色がすぐれないなどは呼吸困難の判断材料です。このような症状のある場合は、すぐにでも診察が必要ですので夜間や休日の診療時間外でも医療機関を受診してください。

(2011年放送)