内科/脳卒中の麻痺のむくみ

脳卒中の麻痺のむくみ

 脳卒中の患者さんでは麻痺した側の手足、特に手の甲や足の甲がぷっくりとむくむことがあります。これは麻痺性浮腫と呼ばれています。心臓から手足に巡っていった血液は、筋肉を動かす事により再び心臓に押し戻されます。麻痺により筋肉の動きが悪くなると、この筋肉のポンプ作用が失われ、血液は麻痺した手足に留まりむくみが起こります。従って治療は、血液の流れを良くすればいいと言うことになります。
 一番簡単に出来るのは麻痺した手足を心臓より上に上げておくことです。1回5分、1日5回程度手を上に挙げたり、足の下に薄いマットなどを敷いて足全体を上げて寝るのも有効です。麻痺した手足のマッサージや空気圧療法も効果的です。麻痺した手足を自分で動かすことができれば積極的に動かす訓練が効果的です。足首を反らせる運動を繰り返す事によりむくみが軽くなります。自分で動かせなければ、周囲の方が手足の屈伸運動をさせることも有効です。
 大切なことはむくみに早く気がつくことです。着替えの時がチャンスです。靴下の痕が残っているかどうか、靴が履きにくい、脱ぎにくいなどが目安になります。座っている時間が長いとむくみが起こり易くなりますが、寝てばかりいては困ります。心臓や腎臓からのむくみと違って、悪化したり命に関わることもありませんので、あまり気にすることはありません。早く気づいて予防、改善につとめましょう。

(2011年放送)