内科/突然、気を失う

突然、気を失う

 「突然、気を失う」という症状は、多くの場合、「失神」を指します。失神とは、一時的に脳へ十分な血液の流れが失われて意識がなくなる発作です。一時的ですから、適切な処置により必ず元に戻ります。
 しばしば経験するのは、パーマ屋さんのお客さんの失神です。髪を洗うときなどの、頭を後ろに反らす姿勢が、失神を引き起こすことがあります。患者さんは、血圧が下がり、脈が遅くなり、汗をかいています。顔色は悪いのですが、呼吸はちゃんとしています。発作が軽い場合は、頸を反らすのをやめ、頭を下げてやると意識は回復します。
 原因はいろいろありますが、中でも多いのは痛みや不安、緊張などストレスに引き続いて、自律神経の働きの異常でおこる血管迷走神経反射性失神といわれるものです。また頸動脈に来ている自律神経が過敏になって起こる頸動脈洞性失神や起立した時に血圧が下がる起立性低血圧があります。
 そのほかにも血液中のブドウ糖が低くなる低血糖発作やてんかんで意識がなくなる場合があります。
 しかし、重大な病気として脳卒中、心筋梗塞、大動脈解離、重症の不整脈などがあります。多くの場合すぐには意識が戻りません。このように重い病気の場合がありますので、頭を低くして安全な姿勢を保ち、救急車の手配をすることが大事です。
 一時的な軽い失神でも、繰り返す場合は、かかりつけ医に相談して、循環器や脳神経の専門医に紹介してもらった方がよいでしょう。

(2011年放送)