足のふらつき
今回は、めまいやふらふら感などの感覚的なものではなく、歩く時のふらつきについてお話ししたいと思います。安定して歩くためには、身体を支える筋肉の力が十分であること、足の感覚が正常であること、さらに身体のバランスをうまくとる事が必要です。これらのどこかに問題があると歩くときにふらつくことになります。
まず、命令を出す脳や命令が伝わっていく脊髄、末梢神経、筋肉のどこかに障害があると足の力が弱くなり、足を引きずったり足がふらついたりします。原因としては脳梗塞などの脳の障害が一番多く見られます。多発性硬化症や脊椎症などによる脊髄の障害、末梢神経や筋肉の病気でも筋力が低下し足のふらつきが起こることがあります。
さらに、筋肉の力は正常でも、身体のバランスの中枢である小脳の働きが低下すると安定した歩行ができなくなります。これを小脳失調と言いますが、酔っぱらったような状態となり、足のふらつきや転倒がおこります。テレビドラマ「1リットルの涙」で出てきた脊髄小脳変性症と言う病気も小脳失調をおこす原因の1つです。小脳の梗塞や出血でも足のふらつきが起こります。
足がふらつく、転びやすいなどの症状を自覚したり、他の人から歩き方がおかしい、まっすぐ歩いていないなどと指摘されたときには、大脳、小脳、脊髄など神経系のどこかに障害がある可能性があります。神経内科や脳外科などを受診されることをお勧めします。
(2011年放送)