ギラン・バレー症候群
全身の筋肉は、脳からの命令が運動神経を伝わって届くことにより動いています。ギラン・バレー症候群は、この運動神経が障害されて、急に筋肉に力が入らなくなる病気です。多くの場合、かぜをひいたり下痢をしたりなどの感染症の後、1~2週間して症状が始まります。
初めの症状は両方の手や足に力が入らない、立ち上がりにくいなど、手足の筋力の低下です。手足のしびれ感もしばしば伴っています。その後、全身の筋力低下が進むこともあります。重症の場合は、呼吸ができなくなり人工呼吸器が必要となることがあります。症状の程度はさまざまですが、1カ月以内に症状はピークとなり、その後は改善していきます。
この病気の原因は、ウィルスや細菌感染が引き金となり、免疫のシステムが異常をおこし、神経を攻撃するために起こるとされています。治療法として、発病してからなるべく早く、免疫グロブリン製剤を大量に注射したり、血液の成分を入れ替える血漿交換療法を行うと、症状の程度が軽くなり早く回復することがわかっています。また回復する時期にはリハビリテーションも大切です。軽症の場合は1~2カ月、多くは6カ月程度で治りますが、残念ながら後遺症を残す方も少数おられます。また、ほとんどの方は1回しかかかりませんが、5%程度で再発があると言われています。
早期治療のためにも早期診断が大切です。お近くの神経内科へ受診されることをお勧めします。
(2011年放送)