男性高齢者の性機能
加齢に伴ういろいろな身体機能の低下は良く知られていますが、性機能低下もその1つです。最近は中高年男性の〝生活の質〟への関心が高まり、高齢者の男性機能障害も注目されています。その主なものが勃起不全と性欲の低下です。70歳以上の男性を対象とした最近の調査では、中等度以上の勃起不全を訴える方が約70%と高い割合でしたが、一方で性的な欲求が時々ある方も15%弱と決して少なくないこともわかりました。さて、この高齢者の性機能障害の原因の1つと考えられているのが加齢による男性ホルモンの低下です。女性に比べて男性ホルモンの低下は進み方が緩やかですが、これに伴い性機能低下だけでなく、認知機能の低下、睡眠障害、内臓脂肪の増加などがしばしばおこってきます。これら一連の変化は「加齢男性性腺機能低下症候群」と呼ばれています。勃起不全に対しては有効な飲み薬の登場で治療に大きな進歩がみられていますが、高齢者の場合は副作用の点から泌尿器科の専門医に相談して正しい使い方をすることが大切です。また、男性ホルモン低下に基づく性機能障害には男性ホルモンの補充が有効なことがあります。ただしこの場合も、まずは泌尿器科の専門医の診察を受けることが必要です。
性機能低下は単に加齢による変化というだけでなく、動脈硬化や糖尿病、また最近注目されているメタボリック症候群との関連性もあり、安易に見過ごせない場合があります。まずはかかりつけ医に遠慮せず相談されてみてはいかがでしょうか。
(2010年放送)
性機能低下は単に加齢による変化というだけでなく、動脈硬化や糖尿病、また最近注目されているメタボリック症候群との関連性もあり、安易に見過ごせない場合があります。まずはかかりつけ医に遠慮せず相談されてみてはいかがでしょうか。
(2010年放送)