泌尿器科/前立腺がん治療のいろいろ

前立腺がん治療のいろいろ

  特にこの5~6年、血液検査で簡単に実施できるPSA検査の普及により、前立腺がんの診断を受ける患者さんがとても増えています。この前立腺がんに対してはがんの進み具合に応じた様々な治療法があります。まず前立腺の内部のみにとどまる早期のがんに対しては、がんを完全に治す事を目指した根治治療が行われます。そのひとつは手術により前立腺全体を摘出する方法で、もう1つは放射線を当ててがんを死滅させる放射線治療です。さらに放射線治療には、「外照射法」と呼ばれる体の外から前立腺に照射する方法と、「小線源治療」と呼ばれる前立腺内部に放射線を出すカプセルを多数埋め込む方法があります。どの方法でも高い治療効果が得られますが、副作用や治療期間などの違いがあり、主治医と患者さんでよく話し合って治療法を決めることが多くなっています。
また、早期のがんでも年齢や持病などの理由で根治治療が行えない時は、お薬によるホルモン療法や、治療は行わず経過観察する方法が選択されることもあります。一方、がんが骨などに転移したり、前立腺の外まで広がったような進行がんの場合は、全身に作用するホルモン療法が最もよく用いられます。前立腺がんが成長するのに必要な男性ホルモンを主にお薬で抑制することで、がんの縮小を図ります。速やかな効果が得られますが、進んだがんではいずれ治療効果が低下してくるということがしばしば認められます。
前立腺がんは早期に見つかれば治療により完全に治すことのできるがんですので、50歳を超えたらまずはPSA検査を受けることをお勧めします。
(2010年放送)