眼科/正常眼圧緑内障

正常眼圧緑内障

 緑内障は、眼圧が高くなる病気というイメージが強いと思いますが、眼圧が正常範囲であっても緑内障になることもあり、このタイプの緑内障は日本人に多くみられます。
緑内障では、目の奥のほうにある視神経とよばれる部分に変化を生じます。目はカメラにたとえられますが、そのカメラでとらえた画像を脳へ伝える、つまりケーブルの役割を果たしているものが視神経です。視神経は、神経線維とよばれる電線のようなものが束になってできています。
この神経線維は、生まれたときは140万本近くありますが、生後、少しずつ数が減っていきます。その減り方は年間4~5000本程度とゆっくりですので、100歳になっても6割以上が残る計算になります。
しかし緑内障では、神経線維が減るスピードが速くなってしまい、徐々に見える範囲が狭くなり、やがては失明に至ります。一度切れてしまった神経線維は元に戻らないので、そのスピードを遅くすることが治療目標となります。現在の主な治療法は、眼圧を下げることです。
しかしながら、まだ、神経線維が切れるのを完全に防ぐ方法、つまり緑内障の進行を100%止める方法はわかっていません。適切な眼圧はひとりひとり違いますので、長期間にわたり検査をしないと、その人に適切な治療法がわかりません。ですから、継続して眼科に通院することが重要で、診察のたびに蓄積される検査結果は、やがて患者さん自身のかけがえのない財産となります。
(2010年放送)