婦人科/老人性膣炎

老人性膣炎

 更年期から閉経期の女性では卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンが減少します。エストロゲンは膣内を酸性に保つ働きや膣の粘膜を柔軟に保つためのコラーゲンを生成するもととなっています。この欠乏により膣は短く狭くなり、膣の粘膜は薄くなり、弾力性を失い膣の分泌物の量も減少します。
膣の中は健康な状態ではデーデルライン桿菌(かんきん)という菌がいて、細菌に感染しにくい環境を作っています。ところがエストロゲンの減少により膣内のグリコーゲンの量が減り、デーデルライン桿菌が減少して膣の環境が悪くなると、細菌感染が起こりやすくなります。このようにエストロゲンの欠乏によっておこる膣炎を老人性膣炎、または萎縮性膣炎と呼びます。
老人性膣炎の症状は、ひりひりする痛み、焼けるような感じ、かゆみ、黄色いおりもの、出血、排尿時のしみる感じ、乾燥感などがあります。また膣の粘膜からの潤滑液の減少により性交痛や出血が起こります。これが原因となって次第に性生活を遠ざけてしまうこともあります。
診断は産婦人科の通常の診察でわかります。必要に応じて細菌検査やカビの検査を併用します。区別すべき病気としてぺージェット病や膣がんといった悪性腫瘍があります。症状があれば産婦人科を受診するようにしましょう。
治療はエストロゲンの補充が第1選択になります。膣の中に入れるエストロゲンの錠剤や飲み薬を使い、性交痛に対しては潤滑ゼリーの併用も効果的です。また、細菌感染を合併している場合は抗生剤を併用します。
(2010年放送)