外科/急にひどくお腹が痛くなる(腸間膜動脈閉塞症)

急にひどくお腹が痛くなる(腸間膜動脈閉塞症)

 腸の働きは、食べ物を消化して必要な栄養を吸収することです。腸は長いホースの様な形をしていますが、腸が生きていくためにも栄養や酸素が必要で、それらの成分は動脈から流れてくる血液に含まれています。腸を養う血管が通っている扇状の膜を「腸管膜」といい、「腸管膜動脈閉塞症」とは、扇の要の部分にある腸管膜動脈が詰まる病気です。
腸に行く血管が詰まると、時間とともに腸はどんどん傷んでいきます。最終的に「壊死」という状態になると、救命のためには腸の大部分を手術で取り除くこととなります。腸の大部分がなくなって消化吸収ができなくなると、たとえ一命を取り留めても、生涯にわたって点滴が必要となる可能性があります。したがって、早く病院で診断してもらうことが大切といえます。
今まで一度もお腹が痛んだことのない方はいらっしゃらないと思いますが、この病気ではお臍を中心にひどい痛みが来ることが一般的です。どういう詰まり方をしているかによって病気の進み具合は変わりますが、通常は半日以上経つと「壊死」に陥る可能性が高くなってきます。逆に、早い時期に治療を開始することができれば、詰まった血管を回復させる可能性が高くなります。
「腸管膜動脈閉塞症」はめったにない病気ですが、治療が遅れると生命に関わる病気です。不整脈や弁膜症など、心臓の病気がある年配の方で、急にひどい腹痛が出た場合は早めに病院にかかってください。
(2010年放送)