外科/大動脈瘤に対するステントフラフト治療

大動脈瘤に対するステントフラフト治療

 大動脈瘤とは、心臓から血液を全身に送り出すための太いパイプである大動脈が徐々にこぶ状に膨らんでくる病気です。大動脈瘤は、動脈硬化によって弱くなった動脈の壁に圧力が加わり、動脈の壁がこぶ状に膨らんでくることにより起こるとされています。破裂を起こした場合には、救急車で病院にたどり着く前に死亡することもあるので、大動脈瘤が見つかれば速やかに専門医の診察を受ける必要があります。
大動脈瘤の治療として、最近では体にやさしいステントグラフト治療が注目されています。この治療法は、ステントグラフトと呼ばれるバネ付き人工血管をカテーテルというストロー状の長い管(くだ)を用いて大動脈瘤の位置に固定します。
大動脈瘤内で広がったステントグラフトは動脈瘤の前後を橋渡しする形となり、動脈瘤は血液の流れから完全に遮断されます。人工血管の外側にかさぶたがついて、動脈瘤が破裂しない状態となるわけです。この方法は、太ももの付け根の部分に小さな切り口を入れるだけで治療ができ、患者さんの体への負担はお腹を開ける手術に比べて軽いという利点があります。
ただし、すべての方にこの治療方法が適応されるわけではなく、大動脈瘤の場所や性質によってはお腹を開ける手術が適している場合もあります。大動脈瘤があると言われた場合には、早めに専門医の診察を受け、どの治療法が適切かをよく相談されたらよいでしょう。
(2010年放送)