小児科/熱射病

熱射病

 人の体温は、外の気温が変化しても一定に保たれるよう、脳にある体温中枢というところが調節をしています。しかし、高温多湿の環境のもとで激しい運動などをすると、この調節機能が働かなくなり、体の中の熱が放散されず、体温が異常に上昇することがあります。これが引き金となって、さまざまな異常を起こすことがあり、これが熱中症といわれるものです。子どもは、体温中枢が未熟で体温調節がうまくできないことが多く、熱中症を起こしやすいのです。車内に放置された乳幼児が、熱中症で死亡するということが毎年起こるのはそのためです。短時間なら、という安易な気持ちが、大変な事態を引き起こしてしまいます。
暑い環境のもとで体温を上げないためには、水分補給が必要です。汗といっしょに、体に必要なナトリウムやカリウムなどの電解質も失われるため、塩分の入ったスポーツドリンクなどが適しています。長時間、外に出る場合は、日陰に移動したり、休む時間をとることも予防として大切なことです。
急に元気がなくなる、飲んだり食べたりしなくなる、体は熱いけど汗をかいていないなどが、熱中症の始まりによくみられるものです。このようなときは、まず涼しい場所に移動し休ませます。衣服を脱がせ、できれば濡れタオルなどで、わきや首を冷やしてあげましょう。スポーツドリンクなどを少しずつでも飲ませます。多くの場合は、これで回復します。呼びかけても反応が鈍いときは、すぐ医療機関を受診してください。
(2010年放送)