小児科/おたふく風と難聴

おたふく風と難聴

 おたふくかぜは、おたふくかぜウイルスによって起こる感染症です。流行性耳下腺炎ともムンプスとも言われます。耳の下の耳下腺が腫れて、痛みが来ます。多くは左右とも腫れますが、片側だけのこともあります。腫れは約1週間でひきます。熱が出ることもあります。合併症として、髄膜炎や睾丸炎が有名ですが、重症の難聴になることがあります。
おたふくかぜによる難聴を、ムンプス難聴といいます。これまで、ムンプス難聴は非常にまれであると信じられてきました。しかし最近の研究では、これまで考えられていたより、かなり多くの患者に認められ、おたふくかぜの合併症の中で重要視されてきています。ムンプス難聴は急激に発病し、重症のことが多く、改善しにくいなどの特徴があります。多くは片側だけですが、両側のこともあります。片側だけの発症が多いため、症状を十分に訴えられない子どもでは、難聴になっても周囲が気づかず、時間が経って発見されることも多いと言われています。耳鳴りや、めまいを伴うこともあります。早期治療により、聴力が回復することもありますが、たとえ治療しても、高度の障害を残すこともあります。
もし、難聴を疑われた時には、直ちに、かかりつけの小児科の医師に相談してください。現在、ムンプス難聴の予防で最も有効な方法は、おたふくかぜワクチンの接種です。難聴を防ぐため、ぜひ、おたふくかぜワクチンを接種してください。
(2010年放送)