内科/機能性胃腸症-がんや潰瘍でないのに調子が悪い-

機能性胃腸症-がんや潰瘍でないのに調子が悪い-

 機能性胃腸症とは、内視鏡検査などで胃に潰瘍やがんなどがないのに胃のもたれや痛みを感じる病気のことです。これまで「胃けいれん」や「神経性胃炎」と診断されていましたが、粘膜に炎症もないのに「胃炎」と呼ぶのはおかしいと、近年「機能性胃腸症」と名付けられました。消化器科を受診した患者さんの約半数がこの病気との報告もあり、胃では一番メジャーな病気かもしれません。
この病気は、精神的ストレス・過労・不規則な生活などが原因とされ、その緊張状態が胃の機能に影響して、もたれや痛みを起こすと考えられています。症状は食後のもたれ感を主とするものと、みぞおち付近の痛みや胸やけを感じるものに分けられます。食後すぐに腹が張るのは胃の拡張する機能が低下した状態です。もたれは胃の収縮する機能が低下した状態です。胃の痛みは胃粘膜の知覚過敏によって起こります。
診断には潰瘍やがんなどがないことを確認する必要があり、症状によって内視鏡検査、超音波検査などが行われます。この病気は症状を和らげる治療を中心に行われます。主に薬物療法と食生活を含むライフスタイルの改善です。薬物は胃腸の運動機能を正常に近づける消化管運動機能改善薬、胃酸の分泌を抑える酸分泌抑制薬、不安やストレスに有効な抗不安薬などが用いられます。さらに睡眠を十分にとりストレスをためないことも必要ですし、信頼のできる主治医を選ぶこともこの病気を治す重要な要素となるでしょう。
(2010年放送)