顔面神経麻痺
顔の筋肉は、脳からの指令が顔面神経を伝わって動かされます。この顔面神経が傷害されるために起こるのが顔面神経麻痺です。原因がわかる場合はむしろ少なく、約70%が原因不明と言われています。原因がわかる場合で一番多いのはヘルペスウイルスによるもので、耳などに発疹ができます。
症状の特徴は、急に起こってくる片側の顔面の麻痺です。その結果、顔の左右がアンバランスになる、眼を閉じられない、口角(こうかく)がさがる、口から水がこぼれるなどの症状が起こります。麻痺した側の耳が過敏になったり、麻痺した側の舌の前方3分の2の味覚障害を伴うこともあります。眼が閉じられない場合は、眼が乾燥して角膜を痛めることがありますので眼帯の着用が必要です。
治療としてステロイドホルモンの服用を行いますが、発病早期に十分な治療を行うことが重要です。そのほか抗ウイルス剤、ビタミンB12、ビタミンEも用いられます。治療開始が遅くなると回復が遅れ、後遺症を残す可能性が高くなります。重傷度によって回復の程度や時間に差があり、症状が強い場合は回復に数カ月以上かかります。
早く治そうと強くマッサージをしたり、低周波電気刺激などをしますと、顔面神経の回復が混乱し、口を開けたら眼が閉じるなどの困った症状が起こります。1カ月以内は自分で軽く動かしたり、温めたりと言う程度にしてください。顔面神経麻痺は早期診断・治療が大切です。お近くの神経内科や耳鼻咽喉科にすぐご相談ください。
(2010年放送)